1. HOME
  2. 教育・実践
  3. 北欧から自分を変える自分に還る旅のコーディネート
教育・実践

北欧から
自分を変える
自分に還る旅のコーディネート

教育・実践

98

いつも笑顔で、そこにいる女性。深い瞳のその奥に何を見つめ、何を潜め、何を見通しているのだろう?
 その人が入ってきた途端、賑やかになったり、空気が変わったりしたりした経験があるだろうか?彼女はそんな人ではない(笑)。小さな体の優しい笑顔の物静かなもの越しの、ごくごく普通の女性である。しかし、一旦、彼女が口を開けば、目の前の200人や300人の聴衆は彼女の言葉に、彼女の視点に、彼女の思考や志に、のみこまれ、共感し、心を打たれる。一対一で話をすれば、彼女のファンになって帰ってゆく。

 私が彼女に出会ったのは10年近く前の冬。優しい笑顔のその奥に、確たる芯を感じるそんな女性であることを感じさせられた。それは、今も変わらずに感じる。

 

 『100年後の未来に生きる地球人』というテーマで、これから多くの方を取材するが、第一回目に、“戸沼如恵さん”を選んだのは、彼女の見ているものや考え方を、ファッションや流行という一過性のものでない真のサスティナビリティーな未来へ続く今を、しっかりと形になさっているお姿に共感し、伝えたいと思ったからである。

 

 エコ・コンシャス・ジャパンを創立したのは今から2010年4月。もともと環境問題や自然への慈しみ、安全な食、健やかで健全な体と心に関心を持ち、仕事や生活をなさっていたゆきえさん。もっと、未来に残せる社会・サスティナブルな地球を残す活動ができないかと思っていらしたようだ。COP5のエコ・コンシャスの展覧会に心を揺さぶられた。そこではデンマークの取り組みや、スタイリシュなデザイン、デンマークの取り組みだけでなく、そのハートが決め手だった。背中を押されて起業。「当時は、想いはあったけれど、何をどうやっていこうかは全く皆無で。見切り発車。」という。

 

「でもね、大事なのはWHYだと思うの。

WHATではないよね。」

 

「初めに会社を起こすのは簡単。だからこそ、何をするかではなく、何故するかが重要だ」という。

「ちょうど起業した後、娘のきみかがデンマークに留学したの。ドイツに行きたがっていたのに、交換留学で行くことになったのがデンマーク。そのあとに、震災があって、ボランティアにいわき市や石巻市に行ったりして。すごく、考えさせられる時だった。日本のことも自分のことも。2011年6月に取材も兼ねてデンマークに行って、何だか確信したの。持続可能な人のあり方や考え方、社会のあり方に共感したというか、答えがそこにあった気がした。きみか(長女)の留学が導いてくれたの。」

 

 2011年震災後に起こった福島の原発の事故に、日本の社会はエネルギーのあり方を考えさせられたが、デンマークは1972年にすでに、原子炉廃棄を国会で決め、今では多くの自然再生エネルギーによって、国のほとんどのエネルギーをまかなっている。もちろん、現在、原子炉のない国である。

 2012年6月からデンマークのロラン島(自然再生エネルギー800%〜900%の島)に、ツアーが始まる。

 

私にできることを模索していたけれど、一人一人が旅を通して変化してゆく姿を眼の前にした時、「自分のすべきこと」が確信に変わった。

 

 エコ・コンシャスは北欧を中心に旅をコーディネートしている。それとともに、自分たちを見直す江戸・東京ツアーの企画も面白い。

まずは、北欧の旅についてお話を聞いてみよう。

 

Q:どうして北欧なのですか?
ゆきえさん:北欧に行くのは、日本からは時間もお金もかかる旅になるでしょう。みんな「えいや。」って、それなりに勇気出して、いろいろな工夫していらっしゃるから。だから、こちらも本気でプロディースするやり甲斐があるの。日常骨休めやリゾートならもっと近場にたくさんあるでしょ。あえて、遠い国に足を運ぶのにはそれなりの覚悟でいらっしゃる。だから、こちらも本気で伝えたいと思っている。

Q:何を伝えたいのですか?

ゆきえさん:旅だから気がつけること。日常を置いてきて、自分を振り返り、人生の大切なことに気づくたびにしてほしい。それを気づかせるものが北欧にはあるから。

 そのために、飾らず、上部面の観光するのでなく、できる限り北欧の人の生活や考え方、そのまま味わってもらう努力を日頃からしているの。いただいた北欧の方々とのご縁を大事に大切に絶え間なく育んでいくのも、私の仕事の一つかな。そうするとね、とっておきの情報を出してくれたり、心からのおもてなしをしてくださったりするの。エコ・コンシャスの旅を選んでくれた方に、本当の価値を手に入れてほしいから、旅の最中で終わりでなく、ずっと現地の方も、きて下さった方もずっと人間関係が絶え間なく続くのは、宝。

 

Q:どうして北欧なんでしょうか?

ゆきえさん:北欧には、日本では気がつかない自分の心に気づくことができる旅をコーディネートできると思っている。それは、北欧の国々の特徴が、それを教えてくれるから。

 例えば、フィンランド。

OECDのPISAの世界テストで、フィンランドは総合1位になったの。塾はなく、授業は午前中でほとんど終わり、99%が効率。夏休みはとても長い。それなのに1位なの。英語・数学・国語・理科・社会という区切りではなく、テーマから導いて必要なものを学んで行く教育システム。わかりやすく言えば、“地球温暖化”というテーマを掲げるとするでしょ。そのテーマをもとに、必然的に気候のことや地形のこと、生活の違いや文化の違い、エネルギーの問題からゴミのこと、計算式やCOやメタンといった理系のことも学べるでしょ。一つのテーマを掘り下げることにより、たくさんの教科の勉強ができるはずなの。それをもとに解決するためのチームリーディングがメインになるの。暗記ではなく、考察して、仲間と導く力を養える。それが社会に出たとき、本当に役に立ってゆくことになる。
 チームリーディングをしていくと、必ずそこには色々な意見と色々な人が交差するでしょ。その時、レベルや考えの違いもあれど、それをうまく認め調整していく力も養われる。精神的に弱かったり、肉体的に成長が遅かったりする子も、存在意義を認められるということは、社会に出るときにもとても重要なことでしょ。日本のように、引きこもりやニートの出辛い社会ではなく、一人一人の価値を、小さな頃から認め合える教育をしているんだと思う。大人になったときに、その人なりのその人にあった職につき、ちゃんと税金も納税できる、つまはじきにしない教育ができているのは、素晴らしいと思う。

それができるのは、カリキュラムで進行する時間割ではないということや、マストでやらねばならないことが少ないこと。加えて先生の質がかなり高いことが、このハイレベルな教育水準を保っているのだと感じる。

 

旅で教育を中心にフィンランドは、見てもらうとき、いろいろな角度からそれを体験・体感できるように、現場から感じてもらえるようにプロジュースしている。格好つけた視察でなく、私たちと変わらない年頃の、変わらない生活レベルの等身大の生の声を大切にしてきているの。
 “等身大というのが重要なの。自分を見直すのには。”

 

 デンマークでは、

まずは現地の人としっかりとつながってもらえるようなプロジュースを。自然再生エネルギー900%の島、ロラン島では、社会のあり方や働き方、人生の楽しみ方をしっかり考え行動なさっているコニュニティーがあること。環境意識とともに、自分の人生を充実させながらも、社会や地球がサスティナビリティーな幸せを追求し、行動し続けている実社会を体感してもらえると思う。

実際には、

  1. No comments yet.

  1. No trackbacks yet.